すべての価値を知ると本当の価値を教えられない

立ち食い蕎麦をすする傍ら、店の厨房にあるFMラジオからはショパンの雨だれが聴こえて来る。

 

ラジオ番組の解説者が曲を背景に何かを述べている。筆者はアイルランドの思想家サロメの言葉をどう聞き間違えたのか、「すべての価値を知る者は、真の価値を教えられない」と解釈してしまった。サロメの意図とは別にして、「何も知らないで未知の分野に取り組んだ方が物事は上手く運ぶ。」そのように思えた。

 

人は予知能力を秘めているせいか、物事を効率的に進めたがる。生物上、進めざる得ないのだ。そうでなければ、人類はこの時代まで生き残っていない。「重いもの背負って遠回りをしてみる」これは結果的に見ると、一番の近道だったりする。人間性を高めるためにも大変良いことだ。 それでは、これを社会人が就業中に行うと、どうなるであろうか…。 上席から叱責の言葉を浴びることは目に見えている。物事は合理的に進めなければならないのだ。徐々に人間関係が気薄になって行く。業界のグローバル化は、人の繋がりもグローバル化にしてしまう。

 

そのうち「人」という字は「ハ」に変わるのではないだろうか。字には由来があるはずだから…。

 

すべての価値を知らずとも、本当の価値とは何か、皆さんはご存じであろう。

 

「すべての価値を知ると本当の価値を教えられない。」

 

 

【余談】
立ち食い蕎麦屋の店員様と筆者の雑談内容を記してみた。

 

店員:「お客さん、食べた後のマッタリ感が良いね」

 

筆者:「良い蕎麦を食べた後は、まったりしちゃうよね…。」

 

店員:「(^-^)...」

 

筆者:「ここの店、いつ来てもBGMがクラッシック音楽だよね。」

 

店員:「上にあるスタジオが経営してるから...。」

 

筆者:「え~、NOAHって立ち食い蕎麦のチエーン店も経営してるの?」

 

店員:「銀座にNOAHって喫茶店もあるよ。」

 

筆者:「そういえば地下にあった。ワッフルにアイスが乗ってるの食べた。」

 

筆者:「音楽スタジオが立ち食い蕎麦屋を経営するなんて意外だね~。だからスタジオのナイトパックに夜食のチケットが付いてるんだ。」

 

このように店員様と言葉のキャチボールをしながら店を後にした。

 

我ながら、立ち食い蕎麦をすすりながらショパンの雨だれを聴くのも悪くないと思った。

 

(^^♪