このプログラムが演奏家と聴き手を幸福にする

 

筆者は色々なコンサートに足を運んでいる。そして、その都度考えることがある。

 

 

コンサートのプログラムを選考するにあたり、主催者側、それも主催者と演奏者が各々希望する作品は、どれくらいの比率でプログラムに反映されているのであろうか?

 

 

プログラムの比率例(主催者希望の作品、対、演奏者希望の作品)

 

Aのコンサート(10対0)
Bのコンサート(9対1)
Cのコンサート(5対5)
Dのコンサート(1対9)
Eのコンサート(0対10)

 

これが筆者の主観である。

 

AとBはよくある比率。

 

Cは前半の部を演奏者希望の作品、そして後半の部は主催者希望の作品の例があった。前半の部の最後にトリの作品が置かれているのが明らかだ。前半の部を主催者希望の作品にしたら良かったと思ったのは、筆者だけではないと思う。

 

 

Dはプログラム全体を通して見ると1つだけ作品が浮いている。浮いている1作品は主催者が希望したのかもしれない。その一方でBのように演奏者が1作品を挿入すると違和を感じない。

 


案外ここには演奏家がもっと演奏をしたい作品を要望したにも関わらず、主催者の都合で1作品しか叶わなかった内情も実在したりする。いったい主催側が提案した当たり障りのないプログラムとは聴き手側の何に対して訴え掛けようとしているのか、いまいち素人の筆者には判らなかった。

 

 

Eは演奏家に全てをお任せする、かなり良心的な主催者。このような主催者のコンサートが増えると、演奏家にとって幸せ以外に言うことなし。 但し、”それが必ずしも聴き手側にとって、満足のゆく幸せな結果が得られるとは限らないぞ”という主観を筆者は持っている。演奏家が自主企画で行っているコンサートに行くと、それがよく判る。

 

 

さて、びっくりしゃっくりはどこに分類されるであろうか? それは紛れもなくAである。百歩譲ってBかもしれない。これだから素人の筆者が企画するコンサート程、怖いものはない。

 


怖い理由は、コンサートにおける集客率イコール演奏家の集客率と見なされてしまうからである。集客率の低いコンサートは演奏家の名前に傷を付けてしまう。だから集客に関しては筆者も必死である。入場無料のコンサートだからといって、集客に繋がるとは限らない。集客に繋がらない入場無料のコンサートは結構あるものだ。

 


Eコンサート(0対10)の一例として、値が張るチケット代でありながら、ほぼ満席(精々5~6席の空き)。且、満足度を維持してお客様を終演に導く演奏家は素晴らしいと思う。尚且つ、7~8割のお客様が次回のコンサートに誘引されてしまう魅力を兼ね備えた演奏家は女神である。

 

 

具体例として、コンサートの開演時間から会場までの移動時間を逆算して、タイムリミット10分前に筆者をコンサートへ行こうと決意をさせるピアノリサイタルがあった。

 

 

2017年07月07日(金)14:00開演
ヤマハホール

 

小川典子ピアノリサイタル
公演情報 https://www.yamahaginza.com/hall/event/2535

 

【前半】
W.A.モーツァルト/ピアノ・ソナタ 第3番 変ロ長調 K. 281
W.A.モーツァルト/ピアノ・ソナタ 第11番 イ長調 「トルコ行進曲付き」 K. 331

 

【後半】
F.リスト/パガニーニ大練習曲 第3番 嬰ト短調 「ラ・カンパネッラ(鐘)」 S.141/R.3b
J.ブラームス/6つの小品より 第2番 間奏曲 イ長調 Op. 118-2
R.シューマン/幻想曲 ハ長調 Op.17

 

【アンコール】
E.サティ/ジュ・トゥ・ヴー(仏:Je te veux)


つくづく、このコンサートに足を運んで良かったと思う。タイムリミット10分前に行動を決意をさせたコンサートに想定外はない。これは筆者の直感である。何しろプログラムのバランスが良い。前半の部に作曲家1人、そして後半の部には作曲家3人の作品をあてる。(圧倒的に後半の部は作曲家1人のパターンが多いであろう)

 

 

前半の部をすべてモーツァルトの作品にあててくれたこと。これが筆者をコンサートに向かわせた動機である。足は前日の就寝時より銀座ヤマハホールの方向に向いており、コンサートの当日は仕事の進捗状況と睨めっこをするだけであった。それでも足が右往左往しており、己の向かう方向は定まらない事情があったのだ。


開演前にプログラム集を眺め、ふと思った。これにフランスものがあると、かなり良いセンスをお持ちの演奏家様とお見受けをする。
団扇処ではなく、大きな扇子の持ち主とでも言うべきであろう。その結果はアンコールのE.サティで裏付けされた。感想は素晴らしいコンサートの一言に限る。

 

さて、前半の部と後半の部、すべてにモーツァルトの作品を当ててくれるコンサートなどはあるだろうか?

ありまする~ q(^-^q)

 

これも筆者をコンサートに向かわせる動機となった。早速、今夜からトッパンホールに足を向けて寝てみよう。もしかしたらホール敷地内の公園にあるオプジェのゴリラさんに会えるかもしれない。(補足 ※ブログ 演奏行為とは五感を適応行動させたもの

 

 

2017年10月22日(日)14:00開演
トッパンホール


モーツァルト・シンフォニー・オーケストラ 第29回演奏会
末廣 誠(指揮) / 山西 遼(ピアノ) / 山中美知子(コンサートマスター) /モーツァルト・シンフォニー・オーケストラ
公演情報 http://www.toppanhall.com/concert/detail/201710221400.html

 

モーツァルト: 3つの行進曲 K408
ピアノ協奏曲 ト長調 K107-2
ピアノ協奏曲第5番 二長調 K175
交響曲第26番 変ホ長調 K184

 

モーツァルトの作品を堪能したき聴き手様は、是非ともトッパンホールにお足をお運び下され。びっくりしゃっくりのコンサートにおいて、一番の功労者こと、山西 遼がモーツァルト オール プログラムのコンサートに出演をするのでありまする。さぞかし、ご本人は幸せでありましょう。

 

「このプログラムが演奏家と聴き手を幸福にする」